音楽史に刻まれた究極の自然体、キャロル・キング「つづれおり」が今も愛される理由
アメリカを代表する女性シンガー・ソングライター、キャロル・キング。彼女のキャリアにおいて最高傑作と名高いアルバム「つづれおり」が、発表から55年という歳月を経てもなお、音楽ファンの心を捉えて離しません。1971年にリリースされたこの一枚は、単なるヒット作という枠を超え、今もなお瑞々しい輝きを放ち続けています。
キャロルは1960年代初頭、若干20代の頃から当時の夫ジェリー・ゴフィンとのコンビ「ゴフィン&キング」として、ブリル・ビルディングを拠点に数多くのヒット曲を世に送り出しました。その才能は、若き日のビートルズのメンバーたちが憧れのソングライターとして名を挙げるほどで、裏方としても既に世界的な名声を手にしていました。
その後、バンド「シティ」での活動を経て、1970年代からは自らピアノを弾き語るスタイルへと転身。ソロ2作目として発表された本作は、彼女にとって最大の成功を収めることとなります。アルバムの幕開けを飾る「空が落ちてくる」から始まり、「去りゆく恋人」、全米チャート1位を記録した歴史的名曲「イッツ・トゥー・レイト」、さらには「ホーム・アゲイン」「ビューティフル」といった珠玉の楽曲が次々と並びます。
後半も圧巻の構成です。ジェームス・テイラーによるカバーでも知られる「君の友だち」や、かつてアレサ・フランクリンに提供した「ナチュラル・ウーマン」のセルフカバーなど、音楽史に残る名演が収録されています。
彼女の歌声の最大の魅力は、聴き手に威圧感を与えない、どこか素朴で温かみのある響きにあります。優しく包み込むような包容力と、芯のある力強さが共存するそのパフォーマンスは、聴き終えた後に深い幸福感と充実感をもたらしてくれます。
結果として全米1位を15週連続で獲得するという驚異的な記録を打ち立てましたが、アルバム全体から漂うのは商業主義とは無縁の、純粋な音楽への情熱です。等身大の自分をさらけ出し、身の丈のままに歌い上げた「本物の歌」が詰まったこの名盤は、まさに時代を超えて語り継がれるべき至宝といえるでしょう。